高周波放射(RFR)への生涯のばく露に関連するがんハザードが、イタリアのRamazzini Institute(RI)でSprague Dawley(SD)ラットを用いて調査され、神経膠腫と心臓の神経鞘腫の発症率が上昇した。これらのラットの稀な腫瘍をヒトの疾病に翻訳する上での意義は十分には理解されていいない。この研究は、RFRによるラット腫瘍における遺伝的変化を、ヒトの神経膠腫発生に関連する重要ながん遺伝子の分子的特徴付けを通じて調べた。標的化次世代シーケンシング(NGS)パネルを、orthologousな[訳注:共通祖先からの種分化に由来する]ヒトの神経膠腫関連遺伝子のトップ23に基づいてラット用に設計した。ラットの神経膠腫と心臓の神経鞘腫では、単塩基変異体(SNV)ならびに小さな挿入および欠失(indel)が特徴付けられた。ラットの腫瘍におけるこれらの遺伝的変化をヒトの疾病に翻訳する上での意義を、「がんにおける体細胞突然変異のカタログ(COSMIC)」データベースとの比較を通じて決定した。これらのデータは、RFRへの生涯ばく露の結果としてのラットの神経膠腫が、低級度のヒト神経膠腫に組織学的に類似していることを示唆しているが、驚くべきことに、ヒトIDH1 p.R132またはIDH2 p.R172と同質性を持つ変異はラットの神経膠腫では検出されなかった。このことは、ラットの神経膠腫が、ヒトの神経膠腫に関連するIDHホットスポット変異について主に野生型であることを示唆している。ラットの神経膠腫は、IDH1野生型のヒトの神経膠腫と幾つかの遺伝的変化を共有しており、ラットの心臓の神経鞘腫も調査対象のがん遺伝子の幾つかに変異があると思われる。これらのデータは、腫瘍特異的なorthologousなヒトのがんのドライバー遺伝子に基づいた標的化NGSパネルが、慢性/生涯のげっ歯類バイオアッセイから生じるげっ歯類の腫瘍の翻訳的意義を検討するための重要なツールであることを示している、と著者らは結論付けている。
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