電磁界ばく露に対する誘導電界の評価には、医療用画像に由来する計算ヒトモデルが広く用いられている。ヒトモデルの開発のための伝統的手法には組織のセグメンテーションがあるが、これは医療用画像から組織を同定する際に膨大な労力を要する。医療用画像からの組織の導電率を直接的なマッピングには深層学習技術が活用されており、組織境界をまたぐ、または同一組織内でも導電率が平滑につながるヒトモデルが作成されている。この研究では、平滑化した導電率を有する8つのヒトモデルを、深層学習ネットワークを用いて作成した。一様な低周波磁界へのばく露に対する誘導電界をこれらのモデルで評価し、伝統的なセグメント化モデルと比較した。その結果、学習ベースのモデルおよびセグメント化モデルにおける誘導電界の分布は整合し、前者のほうがより平滑であった。灰白質に対する一様でないモデルとセグメント化モデルとの間の99および99.99パーセンタイル値の差は、それぞれ8%および13%以内であった。学習ベースのモデルでは階段化による誤差は抑制された。これは、特に組織境界面での導電率の値の平滑なつながりによる。最大電界の被験者間のばらつきは、非一様モデルでセグメント化モデルよりも小さく、相対標準偏差は非一様モデルで12%、セグメント化モデルで22%であった。この差は、国際非電離放射線防護委員会(ICNIRP)の2010年のガイドラインで設定された数値計算の不確かさに関する低減係数3よりも大幅に小さい。これらの知見は、健康への悪影響の閾値に対する限度値の設定に用いられる、国際的なガイドラインにおける適切な低減係数の導出に有益なものとなり得る、と著者らは結論付けている。
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