低周波(< 100 kHz)ばく露では、人体防護のための評価尺度として誘導電界強度が用いられている。高周波(> MHz)とは異なり、生物学的物体における数値計算評価では階段状の誤差の問題が生じる。国際ガイドラインでは、限度値の策定の際に追加的な低減係数として3を考慮している。この論文の著者らは、ボクセル化した人体モデルの低周波磁界ドシメトリに対する皮膚での階段状の誤差を低減するための新たな手法を提唱している。この手法は、空気‐皮膚および皮膚‐脂肪の界面に対する皮膚組織の充填率を考慮して、各ボクセル端に対する実効導電率を決定している。この手法を、一様な50 Hz磁界にばく露したボクセル頭部モデルに適用した。幾つかの解像度の層状球体モデルを用いた検証後、解剖学的頭部モデルを用いて更なる検証を行った。その結果、二層球体モデルでの解析を用いた最大電界強度の比較では、著者らが提唱する手法における差異は5.6%未満で、この手法を用いない場合の26.7%よりも小さいことが示唆された。この手法を用いると皮膚の電界分布はよりスムーズになり、階段効果はほとんど観察できなかった。この手法は、低周波電磁界からの人体防護のための限度値の策定に必要とされる、皮膚における誘導電界の決定に重要な意味を有することを示唆しており、ばく露ガイドラインおよび規格における低減係数および限度値の策定の際に有益である、と著者らは結論付けている。
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