[マイクロ波放射はmiR-30a-5p/AMPKα2シグナル伝達経路を通じてニューロンのオートファジーを生じる] med./bio.

Microwave radiation induces neuronal autophagy through miR-30a-5p/AMPKα2 signal pathway

掲載誌: Biosci Rep 2022; 42 (4): BSR20212584

この研究の著者らは先行研究で、2856 MHzのマイクロ波放射ニューロンシナプス可塑性を損ない、オートファジーを活性化させることを見出したが、その根底にある作用機序は不明である。この研究で著者らは、ラット海馬ニューロンおよび副腎褐色細胞腫(PC12)細胞由来のニューロン細胞を30 mW/cm^2のマイクロ波ばく露させることで、イン・ビボおよびイン・ビトロでmiR-30a-5p(略称miR-30a)の下方制御およびオートファジー活性化を生じさせるニューロン損傷モデルを確立した。バイオインフォマティクス分析を実施し、オートファジーの調節に関与するmiR-30aの潜在的な下流遺伝子として、Beclin1、Prkaa2、Irs1、Pik3r2、Rras2、Ddit4、Gabarapl2およびオートファジー関連遺伝子12(Atg12)を同定した。マイクロ波放射ニューロン異常なエネルギー代謝につながり得るという先行研究の知見に基づき、アデノシン5'-一リン酸活性化プロテインキナーゼα2(AMPKα2、エネルギーセンサーAMPKの重要な触媒サブユニット)をエンコードするPrkaa2を更なる分析のために選択した。デュアルルシフェラーゼリポーターアッセイの結果、Prkaa2がmiR-30aの下流遺伝子であることが示された。更に、マイクロ波放射はイン・ビボとイン・ビトロの両方でAMPKα2の発現およびAMPKα (Thr172)のリン酸化を増加させた。miR-30aミミックによるPC12細胞の遺伝子導入は、ニューロン細胞におけるmiR-30aレベルを上昇させ、AMPKα2発現を低下させ、AMPKα (Thr172)リン酸化抑制し、オートファジーの発生を阻害した。重要なことに、miR-30aの過剰発現マイクロ波で活性化させたオートファジーを無効化し、マイクロ波によるAMPKα2の上方制御およびAMPKα (Thr172)のリン酸化を阻害した、と著者らは報告している。

ばく露