[50/60 Hz磁界はヒトSH-SY5Y神経芽腫細胞における酸化またはDNA損傷応答に影響力を及ぼすか?] med./bio.

Do 50/60 Hz magnetic fields influence oxidative or DNA damage responses in human SH-SY5Y neuroblastoma cells?

掲載誌: Int J Radiat Biol 2022; 98 (10): 1581-1591

この研究は、活性酸素種ROS)産生、DNA損傷、DNA損傷修復率、ならびに酸化ストレスおよびDNA損傷シグナル伝達に関連する遺伝子発現に対する、50 Hzおよび60 Hzの磁界によって生じるかもしれない影響を調べた。ヒトSH-SY5Y線維芽腫細胞を100 µT(二乗平均値)の磁界に24時間ばく露または擬似ばく露した後に分析、またはメナジオン100 µMで更なる処理の1時間後に分析した。ROSおよび細胞質ゾルのスーパーオキシド陰イオン(O2•-)のレベルを傾向測定で分析した。DNA損傷および遺伝子発現をコメットアッセイおよび逆転写定量的ポリメラーゼ連鎖反応(RT-qPCR)でそれぞれ分析した。磁界がDNA損傷修復率に影響を及ぼすかどうかを調べるため、メナジオン処理後の1時間または2時間、細胞にDNA修復の時間を与えた後、DNA損傷を分析した。その結果、磁界ばく露の直後に定量化した場合、ROS関連遺伝子(主に抗酸化活性遺伝子)の発現における全体的な低い程度の上昇を示唆する証拠が認められた。このことは、ROSレベルの僅かな上昇への反応を示唆している。ROS関連遺伝子に生じるかもしれない上方制御は、メナジオンによって誘導されたROSのレベルが、50 Hz磁界によって一貫して低下したという、磁界ばく露の30-60分後の複数の測定における知見によって支持された(但し60 Hz磁界による影響は有意ではなかった)。磁界ばく露細胞質ゾルの陰イオンレベル、DNA損傷、DNA損傷修復率には影響しなかった。ばく露群の細胞でのDNA損傷シグナル伝達遺伝子発現における変化は、偽陽性の知見から期待される比率を超えなかった。50 Hzと60 Hzの磁界によって影響が異なるという確たる証拠は認められなかった。この研究で測定したエンドポイントに対して弱い影響が認められたものの、この結果はROSシグナル伝達に対する磁界の影響と整合する、と著者らは結論付けている。

ばく露