この研究は、マウスの記憶、不安、抗酸化活性、β-アミロイド(Aβ)沈着、ミクログリア集団に対する、異なる強度の超低周波(ELF)磁界の影響を調べた。雄の成体ラット50匹を、ばく露群(50 Hz:1 µT、100 µT、500 µT、2000 µT)および対照群に割り付けた。8週間後、受動的回避試験および高架式十字迷路試験を実施し、記憶形成および不安様行動を調べた。総遊離チオール基および脂質過酸化の指標を評価した。抗β-アミロイドおよび抗-Iba1抗体を用いて、脳内のAβ沈着および染色されたミクログリアを検出した。その結果、100、500、2000 µTばく露群では対照群と比較して、受動的回避試験の保持試行におけるステップスルー潜時が有意に増加した(P < 0.05)[訳注:実験装置内にスライドドアで仕切られた明室と暗室があり、動物は最初は明室に入れられる。動物は暗室を好む習性があり、スライドドアを開けると暗室に移るが、1回目の試行で暗室に入ると嫌悪刺激(電気刺激)が与えられる。2回目以降の試行で、スライドドアを開けてから明室から暗室に移動するまでの時間(ステップスルー潜時)が長いほど、嫌悪刺激を覚えている(学習・記憶が成立している)と考えられる]。更に、高架式十字迷路で壁のない腕に入る頻度が、ばく露群(特に2000 µT)で対照群よりも低下した(P < 0.05)[訳注:高架式十字迷路には壁のない腕と壁のある腕が交互に配置されており、壁のない腕に入る頻度が低い(壁のある腕に留まる)ことは不安が強いことを示すと考えられる]。各群で海馬でのAβ沈着は検出されなかった。100、500、2000 µTばく露群では対照群および1 µTばく露群と比較して、ミクログリアの数の増加が認められた、と著者らは報告している。
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