フッ化物は細胞損傷におけるメラトニンの防護的役割を弱める可能性がある。静磁界はフッ化物の悪影響を打ち消し得る物理的作用因子の一つである。この研究は、フッ化物と中程度の強度の静磁界に同時ばく露したヒト皮膚線維芽細胞における、メラトニンの活性に関連する遺伝子の転写活性を分析した。オリゴヌクレオチドマイクロアレイおよび逆転写定量的ポリメラーゼ連鎖反応(RT-qPCR)を用いて、フッ化物および静磁界に同時ばく露したヒト線維芽細胞におけるメラトニン関連遺伝子の発現を調べた。酸化的損傷のマーカーの濃度も測定した。その結果、同時ばく露した細胞では、フッ化物の存在によって調整された分化遺伝子(IL27RA, NR1D1, RRP7A, YIPF1, HIST1H2BD)の発現を相殺する傾向が認められた。また、同時ばく露した細胞では、フッ化物に単独ばく露した細胞と比較して、酸化的損傷のマーカーの濃度が有意に低かった。フッ化物にばく露したヒト皮膚線維芽細胞に対する中程度の静磁界の防護的役割が示され、その作用機序はメラトニン依存性の経路に関連する、と著者らは結論付けている。
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