世界保健機関(WHO)は、当該分野における専門家によって優先順位が高いと事前に同定された健康影響に関連する、高周波(RF)電磁界ばく露についての証拠を取りまとめている。ばく露ガイドライン策定に関連したデータの収集・評価・合成のため、専門家のネットワークによって一連の系統的レビューが進行中である。この論文は、RFばく露の負の生殖影響(ヒト観察研究)についての系統的レビューのためのプロトコルを提示している。これは進行中の一連の系統的レビューのうちの一つで、系統的レビュー3(SR3)とも呼ばれる。その目的は、ガイドライン策定のためのWHOのハンドブック、および「毒性学および環境衛生研究における系統的レビューの実施のための推奨事項(COSTER)」ガイドラインに従い、ヒト観察研究における男性の生殖能力(SR3A)および負の妊娠結果(SR3B)について、RF電磁界ばく露の影響を系統的にレビューすることである。「系統的レビューおよびメタ分析のための優先的報告項目(PRISMA)」ガイドラインにも準拠する。潜在的に関連のある文献について、MEDLINE、Embase、EMF-Portalデータベースの広範な検索を実施する。また、グレーゾーンの文献の検索も、関連データベースおよび機関のウェブサイトを通じて実施する。RF電磁界の専門家との協議も行う。引用文献および参考文献リストの手作業での検索も実施する。成人男性における不妊、精子の形状、濃度または総精子数、精子運動性(SR3A)、ならびに、妊娠前または妊娠中の女性における早産、低出生体重児(子宮内胎児発育遅延に関連)、流産、死産および先天性異常(SR3B)に対する、RF電磁界ばく露の影響についての定量的なヒト観察研究をレビュー対象とする。論文のタイトル、アブストラクトおよび全文を、包含クライテリアに照らして2人のレビュー実施者が盲検法でスクリーニングし、必要に応じて3人目がレビューする。包含する研究からのデータ抽出は、米国国家毒性プログラム・健康評価解釈局(NTP-OHAT)の「ヒトおよび動物研究に対する格付けツール」を用いて2人のレビュー実施者が行う。適宜、影響をプールし、一様性を調べるため、サブグループ分析または実施可能であればメタ回帰を用いて、メタ分析を実施する。レビュー過程を通じて生じた仮定のインパクトを評価するため、感度解析を実施する。証拠の評価のためのOHATの「医療におけるエビデンスの質と推奨の強さの格付け(GRADE)」ガイドラインに基づき、アウトカムごとに証拠の確かさを評価し、健康影響についての証拠のレベルを結論付ける。この論文で2つの系統的レビューのためのプロトコルを詳述しているのは、レビューの範囲と方法を事前に規定し、レビュー実施者のバイアスのインパクトを低減し、透明性と再現性を促進し、レビュープロセスを改善するためである、と著者らは結論付けている。
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