[甲状腺機能:内分泌かく乱物質、大気汚染、高周波の標的] basics

Thyroid Function: a Target for Endocrine Disruptors, Air Pollution, and Radiofrequencies

掲載誌: Endocr Metab Immune Disord Drug Targets 2023; 23 (8): 1032 - 1040

この論文の著者らは、甲状腺機能に対する各種の環境汚染源の影響について以下のように論じている。甲状腺疾患、主に先天性甲状腺機能低下症、甲状腺炎、および小児甲状腺中毒症が徐々に増加しつつある。過去数十年間に、子ども及び若年者における甲状腺がん発生率の急増も認められていて、これは成人での発生傾向を反映している。甲状腺疾患は遺伝的および環境的要因の両方に依存する。甲状腺機能の変化および甲状腺がんと、広く拡散した人為的起源の有毒化学物質を結びつける証拠が増加している。これらの物質は永続的に環境(大気、土壌、水質)および食物連鎖を汚染し、ヒトでは子宮内から生物濃縮される。大気汚染物質、内分泌かく乱物質、および高周波電磁界といった環境汚染物質は、共通の経路を通じて、共通の標的に対し、世代を超えた影響をもって、甲状腺障害に寄与する複合的なメカニズムで作用する可能性がある。実験的および疫学的観察によって示されているように、これらのメカニズムには、ホルモン合成、輸送および代謝の調節、甲状腺ホルモン受容体への直接干渉遺伝子発現の調節、および自己免疫が含まれる。世界規模の、ますます増加するこれらの有害物質の拡散、ならびに、全身の代謝恒常性の維持、および発育における甲状腺ホルモンの重要な役割を考慮する際、がんを含む甲状腺疾患との結びつきについての入手可能な証拠を過小評価すべきではない。よって、特に子どもの保護のため、一次予防対策が緊急に必要である、と著者らは主張している。

ばく露