この報告書の要旨は以下の通りである。
来るべき第5世代(5G)モバイルネットワークの展開は、大幅に高速のモバイルブロードバンドと、ますます大量のモバイルデータ利用を可能にするものである。技術的革新には、異なる送信システム(多重入力・多重出力(MIMO)アンテナ)、指向性の信号送受信(ビームフォーミング)、異なる周波数範囲の利用が含まれる。同時に、ヒトおよび環境の電磁界ばく露の変化が予想される。これまでに利用されているものに加えて、EUレベルで確認されている5Gの当初の帯域には、700 MHz、3.6 GHz(3.4から3.8 GHz)、26 GHz(24.25から27.5 GHz)がある。最初の2つの周波数帯域(FR1)は、第2世代(2G)から第4世代(4G)技術で利用されているものと同様で、異なるエンドポイント(発がん性および生殖/発達への影響を含む)について、疫学研究と実験研究の両方で調査されているが、26 GHz(FR2)およびそれよりも高い周波数は、同じエンドポイントについて十分に研究されていない。
国際がん研究機関(IARC)は、高周波(RF)電磁界を「ヒトに対して発がん性があるかもしれない(グループ2B)」に分類し、また最近、RFばく露を「高い優先度で」再評価することを推奨した。2011年以降、疫学と実験の両方で非常に多くの研究が実施されている。本レビューは、5Gで利用されているRFの発がん性と生殖/発達ハザードの両方に関する現在の知識を扱っている。より低い周波数範囲(450から6000 MHzまで)のRFについては、様々なイン・ビボ実験研究及び疫学研究があり、これには従来世代のブロードバンド移動通信ネットワークで利用されている周波数も含まれるが、より高い周波数範囲(24から100 GHzまでのセンチ波/ミリ波)については非常に少ない。
このレビューは次のことを示している。1) 低い周波数の5G(700および3600 MHz):a) 疫学研究での発がん性の限定的な証拠あり;b) 実験的バイオアッセイでの十分な証拠あり;c) ヒトにおける生殖/発達への悪影響についての十分な証拠あり;d) 実験動物における生殖/発達への悪影響についての十分な証拠あり。2) 高い周波数の5G(24.25から27.5 GHzまで):この系統的レビューではヒトまたは実験動物において十分な研究が見つからなかった。
結論:1) がん:FR1(450から6000 MHzまで):電磁界はヒトに対して、特に神経膠腫および聴神経鞘腫について、おそらく発がん性がある;FR2(24から100 GHzまで):より高い周波数については十分な研究が実施されていない。2) 生殖および発達への影響:FR1(450から6000 MHzまで):これらの周波数は、男性の生殖能力に明確に影響し、また女性の生殖能力にも影響するかもしれない。胚、胎児および新生児の発達への悪影響があるかもしれない。FR2:(24から100 GHzまで):より高い周波数の非熱作用については十分な研究が実施されていない。
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