この研究は、キイロショウジョウバエの発達段階に対する、超低周波(ELF)電磁界(75 Hz、550 µT)への6時間の単回急性ばく露、および、卵から成虫までの生涯にわたる6時間/日の慢性ばく露の影響を、歩く/登る能力、寿命、発達動態、細胞損傷、酸化ストレス(活性酸素種(ROS)産生)について調べた。その結果、幼虫の登る能力は、急性ばく露(第3段階の幼虫)および慢性ばく露(F0およびF1世代の幼虫)によって有意に低下した(p < 0.05)。ハエの登る能力には、急性および慢性ばく露の両方で変化は認められなかったが、登る速度を比較したところ、慢性ばく露したF1世代のハエで有意な速度低下が認められた(p = 0.0027)。ハエの生存率は、慢性ばく露と急性ばく露(第3段階の幼虫)で有意に影響された。急性ばく露群では、全てのハエが17日目までに孵化したが、対照群よりもハエの数が少なかった(p = 0.007)。他方、慢性ばく露の場合、孵化したハエの数が少ないことに加えて、孵化が1日遅かった(p = 0.0004)。トリパンブルー染色では、第3段階の幼虫の腸内の損傷が認められた。第3段階の幼虫に急性ばく露を用いた場合、幼虫の30%がトリパンブルーを取り込んだが、成熟段階の幼虫では10%であった。慢性ばく露では、F1世代の幼虫の50%がトリパンブルーを取り込んだ。酸化ストレスの評価では、第3段階の幼虫の急性ばく露(p = 0.0004)、成虫段階の急性ばく露(p = 0.0004)および慢性ばく露(p = 0.0001)で、ROS産生の有意な増加が認められた。ELF電磁界は第3段階の幼虫への急性ばく露、および慢性ばく露(卵から成虫段階まで)で最大の影響を生じる、と著者らは結論付けている。
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