[キイロショウジョウバエの様々な発達段階に対する超低周波電磁界の影響] med./bio.

Effects of Extremely Low Frequency Electro Magnetic Field on different developmental stages of Drosophila melanogaster

掲載誌: Int J Radiat Biol 2021; 97 (11): 1606-1616

この研究は、キイロショウジョウバエ発達段階に対する、超低周波(ELF)電磁界(75 Hz、550 µT)への6時間の単回急性ばく露、および、卵から成虫までの生涯にわたる6時間/日の慢性ばく露の影響を、歩く/登る能力、寿命、発達動態、細胞損傷酸化ストレス活性酸素種ROS)産生)について調べた。その結果、幼虫の登る能力は、急性ばく露(第3段階の幼虫)および慢性ばく露(F0およびF1世代の幼虫)によって有意に低下した(p < 0.05)。ハエの登る能力には、急性および慢性ばく露の両方で変化は認められなかったが、登る速度を比較したところ、慢性ばく露したF1世代のハエで有意な速度低下が認められた(p = 0.0027)。ハエの生存率は、慢性ばく露急性ばく露(第3段階の幼虫)で有意に影響された。急性ばく露群では、全てのハエが17日目までに孵化したが、対照群よりもハエの数が少なかった(p = 0.007)。他方、慢性ばく露の場合、孵化したハエの数が少ないことに加えて、孵化が1日遅かった(p = 0.0004)。トリパンブルー染色では、第3段階の幼虫の腸内の損傷が認められた。第3段階の幼虫急性ばく露を用いた場合、幼虫の30%がトリパンブルーを取り込んだが、成熟段階の幼虫では10%であった。慢性ばく露では、F1世代の幼虫の50%がトリパンブルーを取り込んだ。酸化ストレスの評価では、第3段階の幼虫急性ばく露(p = 0.0004)、成虫段階の急性ばく露(p = 0.0004)および慢性ばく露(p = 0.0001)で、ROS産生の有意な増加が認められた。ELF電磁界は第3段階の幼虫への急性ばく露、および慢性ばく露(卵から成虫段階まで)で最大の影響を生じる、と著者らは結論付けている。

ばく露