研究のタイプ: レビュー (医学/生物学の研究)

[ヒトの脳に対する高周波電磁界の影響の閾値] review

Threshold of radiofrequency electromagnetic field effect on human brain

掲載誌: Int J Radiat Biol 2021; 97 (11): 1505-1515

このレビュー論文は、ヒトの脳に対する高周波RF電磁界の影響を、期間の研究結果の分析に基づいて推定した。RF電磁界の影響の閾値を明確にするため、以下の2つのアプローチを採用した。1) 低レベルRF電磁界の物理的モデルの異なる段階に対する感受性における制約の分析;2) 2007-2021年の15年間の神経生理学的および行動学的ヒト研究についての既刊の原著研究に基づく、RF電磁界の影響のばく露レベルへの依存度の明確化のための実験データの分析。RF電磁界の影響についての非熱的メカニズムの物理的モデルの分析では、影響の主な閾値を決定することはできない、という結論が得られた。実験データのレビューでは、RF電磁界の影響が検出された割合は、安静時の脳電図(EEG)の研究で76.7%、睡眠時のEEGの研究で41.7%、行動学的研究で38.5%であった。EEGの変化はおそらく、行動の変化が明らかになるよりも早く現れる。EEGへの影響が検出された最も低いRF電磁界レベルは2.45 V/m(比吸収率SAR)= 0.03W/kg)であった。ばく露レベルに対する影響の依存度は、SARの変化よりも電界強度の変化に従うという予備的な兆候が認められた。但し、ばく露レベルに対する影響の依存度の線形性または非線形性についての十分なデータは得られなかった。RF電磁界に敏感な人々は一部に過ぎないという知見は、放射への免疫または過敏症と関連している可能性がある。RF電磁界によるEEGの変化は、分析した研究の大半で類似しているようであり、うつ病とも類似している。RF電磁界の影響と若年者のうつ病との間に因果関係があるかもしれないということは、極めて重要な問題である、と著者らは結論付けている。

影響評価項目

ばく露