磁界が細胞膜の透過性を変化させることが先行研究で示唆されていることから、この研究の著者らは、60 Hz、50 mTの磁界が膜電位および膜タンパク質に及ぼす影響を調べた。3つの培養ヒトがん細胞株(肺がん細胞株A549、子宮肉腫細胞株MES-SA、抗がん剤ドキソルビシン(DOX)に耐性のある子宮肉腫細胞変異株MES-SA/Dx5)の膜電位を、ELF磁界ばく露によって高めた。磁界と抗がん剤にばく露した場合、A549およびMES-SAでは膜電位の変化が検出されたが、MES-SA/Dx5では検出されなかった。A549から抽出した膜タンパク質に対して磁界が影響力を及ぼすかどうかを、疎水性部位へのDiBAC4(3)色素増強蛍光結合を用いて調べた。その結果、10分間の磁界ばく露後に蛍光の増加が認められ、膜タンパク質の疎水部の構造が変化し、プローブ色素とより結合するようになったことが示された。240分間の磁界ばく露後には傾向の減少が認められた。これらの結果は、60 Hz、50 mTの磁界は培養がん細胞の膜電位、および培養がん細胞から抽出した膜タンパク質のコンフォメーションに変化を生じ、ばく露時間に応じて異なる影響を及ぼすことを示している、と著者らは結論付けている。
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