[ワイヤレスデバイスからの高周波放射に対するベンチマークばく露量アプローチを用いた健康に基づくばく露限度の開発] tech./dosim.

この研究は、生体組織に吸収されるエネルギーの尺度である全身平均比吸収率（SAR）で表される、高周波（RF）放射のばく露限度を策定することを目的とした。米国国家毒性プログラム（NTP）研究での非悪性病変の発生率データのベイズ平均化モデリングを用いて、バックグラウンド発生率を10%超えるばく露量（BMD10）およびその信頼区間の下限値（BMDL10）を計算した。900 MHzのCDMAおよびGSM変調のRF放射へのばく露後の雄ラットでの最も敏感な健康影響は、心筋症および悪性新生物のリスク上昇であった。19週間のばく露後の雄ラットの全ての部位での心筋症についてのBMDL10は、CDMAで0.27-0.42 W/kg、GSMで0.20-0.29 W/kgであった。2年間のばく露後の雌ラットの右心室での心筋症についてのBMDL10は、CDMAで2.7-5.16 W/kg、GSMで1.91-2.18 W/kgであった。多段海岸モデルを用いた複数部位での腫瘍モデリングでは、雄ラットで5%の過剰リスクとなるBMDL5は、CDMAで0.31 W/kg、GSMで0.21 W/kgであった。この論文の著者らは、雄ラットの全部位での心筋症についてのBMDL10が0.2-0.4 W/kgの範囲であることを出発点として、動物種間および動物種内のばらつきに対して二段階の安全係数を適用し、全身平均SARの限度値2-4 mW/kgを導出した。これは、現行の米国の規制における法的許容限度値である0.08 W/kgよりも20-40倍低い。幼児に対しては更に10倍の安全係数を適用して、0.2-0.4 mW/kgとしている。