近年、各種の細胞の遺伝子発現に対するテラヘルツ(THz)放射の影響力について多くの研究が実施されているが、その根底にある分子メカニズムは十分には解明されていない。この研究は、初代ニューロン細胞の遺伝子発現に対する0.1 THz放射の影響をRNAシーケンス分析で調べた。その結果、11個の遺伝子の上方制御、および54個の遺伝子の下方制御が同定された。「長鎖脂肪酸結合」、「トロポミオシン結合」、「BMP受容体結合」、ならびに「GTPase結合」および「リン脂質結合」などの複数の生体分子結合関連カテゴリーがGO分析で強化された。更に、GSEA分析では、タンパク質生合成機構リボソームをエンコードする遺伝子が、0.1 THz照射によって上方制御された。加えて、転写因子AP-1と、そのDNA中の転写因子結合部位(TFBS)との結合効率が、0.1 THz照射によって低下した。このことは、THz照射は転写因子とDNAとの相互作用に影響し、結果として遺伝子発現を調節し得ることを示唆している、と著者らは結論付けている。
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