国際的なばく露規格/ガイドラインでは、身体外部の電磁界強度についての限度が確立されている。低周波領域での最大許容可能ばく露レベルは、健康への悪影響を避けるために策定されている身体内部の電界強度で定義される限度に由来する。電気電子学会・国際電磁界安全性委員会(IEEE/ICES)の規格では、身体内部と外部の電磁界の関係は均質な楕円モデルから取得しており、組織の誘電毒性は考慮されていない。しかし、国際非電離放射線防護委員会(ICNIRP)のガイドラインは、現実的な解剖学的モデルについての計算ドシメトリを用いて確立されている。この場合、組織の導電率のばらつきが、許容可能な身体外部の電磁界強度の導出の際の不確かさの主な発生源となる。この論文の著者らは、均一な50 Hz磁界にばく露された25人の脳に誘導されるピーク電界強度のばらつきに対する異なる組織の導電率の影響を調べることで、この不確かさを特徴付けた。その結果、脳組織の導電率の新たな推定値を用いて計算した最大電界強度は、低周波ドシメトリで一般的に用いられている数値を用いて取得したものよりも有意に低かった。この低い電界強度は、脳の導電率の新たな値が、ドシメトリモデリング計算に通常適用されているものよりも相当高いことによる。感度解析でも、灰白質および白質の導電率のばらつきが、脳でのピーク電界強度に大きな影響を有することが示された、と著者らは報告している。
このウェブサイトはクッキー(Cookies)を使って、最善のブラウジングエクスペリエンスを提供しています。あなたがこのウェブサイトを継続して使用することで、私たちがクッキーを使用することを許可することになります。