この研究は、2月齢および12月齢の2群のC57BL/6マウスを、比吸収率(SAR)が5.0 W/kgの1950 MHz無線周波(RF)電磁界に長期間(2時間/日、5日間/週、8か月間)ばく露し、10か月目および20か月目の行動変化をオープンフィールド試験、Y字型迷路試験、および新規物体認知試験で評価した。また、生物学的影響を海馬のマイクロアレイ遺伝子プロファイリングで分析した。その結果、擬似ばく露群と比較して、ばく露群では20か月目に、オープンフィールド試験でのフィールド中心で過ごす時間の短縮が、Y字型迷路試験および新規物体認知試験での記憶の増強が認められたが、10か月目には有意な変化は認められなかった。マイクロアレイのデータからは、遺伝子オントロジー[様々な種の遺伝子関連情報のデータベース]で神経発生に関与するものとされる15個の遺伝子の両群での改変が認められた。検証のための定量的リアルタイムPCR[ポリメラーゼ連鎖反応]では、ばく露群の20か月目の海馬でEpha8およびWnt6の発現の上昇が認められたが、残りの13個の遺伝子には有意な変化は認められなかった。これらの結果から、C57BL/6マウスの海馬での中齢期からのRF電磁界への8か月間の慢性ばく露後の認知機能の強化は、神経発生に関連するシグナルの上昇と関連しているかも知れない、と著者らは結論付けている。
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