マクロファージタンパク質についてのこれまでの研究は主に生物学的刺激に着目しており、物理的刺激に対する応答にはさほど注意は払われてこなかった。この研究は、電界に敏感なマクロファージのハブタンパク質について調べた。RAW 264.7マクロファージを直流電界(200 mV/mm)で4時間処理した後、RNAシーケンス分析を実施した。発現が異なる遺伝子(DEG)を取得し、遺伝子オントロジー(GO)、Kyoto Encyclopedia of Genes and Genomes(KEGG)ならびにタンパク質-タンパク質相互作用(PPI)分析を実施した。定量的PCRで検証した8個のDEGを選択した。その後、DEGの三次元タンパク質モデルをモデル化し、分子動態シミュレーションを200 ns実施した。最後に、直流電界(10、50、500 mV/mm)を用いてDEGタンパク質の分子動態を200 nsシミュレートし、軌道分析を実施した。その結果、RAW 264.7マクロファージに対する直流電界の明確な影響は認められなかった。合計689個のDEGが得られ、濃縮分析ではステロイド生合成経路が直流電界に最も影響されることが示された。更に、ハブタンパク質の三次元構造を構築し、濃縮分析を実施したところ、直流電界はその強度に応じてタンパク質の原子運動を増加させることが示唆された、と著者らは報告している。
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