研究のタイプ: レビュー (医学/生物学の研究)

[ヒトおよび脊椎動物における弱い静磁界(≤ 1 mT)の生物学的影響および健康関連の影響:系統的レビュー] review

Biological and health-related effects of weak static magnetic fields (≤ 1 mT) in humans and vertebrates: A systematic review

掲載誌: PLoS One 2020; 15 (6): e0230038

このレビュー論文は、弱い(≤ 1 mT)静磁界SMF)によって生物学的機能に生じるかも知れない影響を体系的に分析・評価すること、ならびに研究の現状についての最新情報を提供することを目的とし、PRISMA(系統レビューおよびメタ分析について推奨される報告事項)声明に準拠して作成された。個々の研究の方法論的限界を、健康評価・解釈局(OHAT)のバイアスリスク評価ツールを用いて評価した。評価対象とするためのクライテリアを満たした11報の研究(全て動物研究で、クライテリアを満たしたヒト研究はなかった)をレビューに含めた。11報のうち8報は、弱いSMFばく露に対するラット、ウサギ、リスの反応(メラトニン合成の変化、運動活動の低下、血管運動および血圧の変化、血圧関連の生化学パラメータまたは神経伝達物質のレベルの一時的変化、ならびに酵素活性の上昇)を報告した。報告された影響が健康に対して有益か、あるいは有害かを解釈するには、これらの結果は大いに不明確なままであった。全体として、レビューした文献から入手できた証拠は、弱いSMFの生物学的影響および健康関連の影響について、結論を導くには不十分であった。ばく露した生体系および調査したエンドポイントには均質性が欠如しており、またレビュー対象の研究の大半には科学的強固さも欠けていたため、報告された結果の信頼性は低かった。この論文の著者らは、この分野における更なる系統的な研究を奨励している。また、新たな研究はどのようなものであれ、静磁界がヒトの健康に対してリスクを生じるかどうかを評価するため、ヒトにおける生物学的機能に対する影響に特に対処することが望まれる、と述べている。

影響評価項目

ばく露