この研究は、Wi-Fiルータから発せられる無線周波(RF)電磁界への夜間のばく露が睡眠に影響を及ぼすかどうかを、二重盲検・擬似ばく露対照・無作為化・完全カウンターバランス化横断研究で調べた。健康な若年男性34人(24.1 ± 2.9歳)が睡眠実験室内で5夜を過ごした。スクリーニングおよび馴化のための1夜の後、ベースラインの夜と実験の夜を2セット反復した。アンケートによる主観的なレベル、ならびに睡眠ポリグラフによる客観的なレベル(マクロおよびミクロ構造)で睡眠を評価した。新規に開発した頭部ばく露施設で、2.45 GHzのWi-Fiばく露(10 gあたりの空間ピーク比吸収率(psSAR10g)は最大で6.4 mW/kg)または擬似ばく露のいずれかを与えた。その結果、主観的な睡眠パラメータ、ならびに睡眠のマクロ構造を特徴付けるパラメータに対する、夜間を通じたWi-Fiばく露の統計的に有意な急性影響は認められなかった。睡眠のミクロ構造の分析では、擬似ばく露と比較して、急性ばく露下でのノンレム睡眠中の脳電図(EEG)のアルファ周波数帯(8.00-11.75 Hz)におけるパワーの全体的な低下が認められた。この研究の結果は、RFへの急性ばく露には睡眠のマクロ構造への影響はないことを示した他の複数の神経生理学的研究と一致し、また、Wi-Fiばく露下で認められたEEGのパワーにおける僅かな生理学的変化は、睡眠の主観的評価にも、客観的な測定レベルにも反映されなかったことから、この結果はWi-Fiばく露の睡眠かく乱作用を示すものではない、と著者らは結論付けている。
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