この研究は、(i) リポ多糖(LPS)投与によって誘導した急性神経炎症を呈するラット、(ii) 年齢でマッチングした健康なラット、または(iii) 発症前段階のヒト筋萎縮性側索硬化症(ALS)をモデル化したトランスジェニック[遺伝子導入]hSOD1G93Aラットを、頭部のみGSM 1800 MHzの無線周波(RF)電磁界に2時間ばく露し、ばく露の24時間後に大脳皮質の運動野(比吸収率(SAR)は平均で3.22 W/kgと推定)での遺伝子応答を評価した。LPS投与群では、RNAシーケンス分析によって全ゲノムmRNAプロファイリングを実施したところ、発現した遺伝子の2.7%に有意(調整済みのp<0.05)ではあるが中程度の(変化は2倍未満)上方制御または下方制御が認められ、これには主にニューロンまたはグリア細胞型で発現した遺伝子、ならびにタンパク質のユビキチン化または脱リン酸化に関与する遺伝子群が含まれていた。逆転写定量的ポリメラーゼ連鎖反応(RT-qPCR)分析では、RNAシーケンスによって遺伝子の調節が確認され、PCRで評価した15個の遺伝子のセットにおいて、LPS投与群に誘導した急性神経炎症状態に依存したGSM 1800 MHzへの有意な遺伝子応答が示された。これは健康なラットまたはトランスジェニックラットでは認められなかった。これらの結果から、GSMのRF電磁界による遺伝子応答は中枢神経系に影響する病理学によって異なる、と著者らは結論付けている。
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