この研究は、NIH/3T3細胞[マウス胎児線維芽細胞]のアポトーシスに対する1800 MHz電磁放射の影響を調べるため、比吸収率(SAR)2 W/kgで12、24、36、48時間ばく露した。ばく露後の細胞の生存率及びアポトーシスを、細胞係数キット-8(CCK-8)及びフローサイトメトリで調べた。アポトーシスにおいて重要な役割を担っているp53の発現を、リアルタイム定量的ポリメラーゼ連鎖反応(RT-qPCR)、ウェスタンブロット、免疫蛍光で調べた。アポトーシスを直接反映するミトコンドリアの構造の画像を電子顕微鏡で撮影した。その結果、12、36、48時間ばく露群の細胞生存率は擬似ばく露群と比較して有意に低下した。48時間ばく露群では、後期アポトーシス細胞の割合が有意に高かった。RT-qPCRの結果、48時間ばく露群のp53 mRNAは擬似ばく露群の1.4倍であった。24、48時間ばく露群では対照群と比較して、p53タンパク質の蛍光発現に有意差が認められた。48時間ばく露群には、電子顕微鏡画像でミトコンドリアの膨張と小胞の形態が認められた。これらの知見は、1800 MHz、SAR = 2 W/kgの電磁放射への48時間のばく露は、NIH/3T3細胞にアポトーシスを生じ得ること、ならびに、このアポトーシスはミトコンドリア損傷及びp53発現の下方制御に帰結されるかも知れないことを示している、と著者らは結論付けている。
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