電磁過敏症の人々は、各種の症状の原因を無線周波(RF)電磁界ばく露と考えている。睡眠障害は最も頻繁に引き合いに出されるが、睡眠の変化に関する実験室研究では矛盾する結果が得られている。この研究の著者らは、RF電磁界への単独ばく露では僅かな、あるいは有意ではない影響しか生じないが、RF電磁界とその他の環境上の制約(騒音等)との共ばく露では有意な影響を生じる、という仮説を検証するため、3週齢の雄のWistarラット(4群、各群12匹)を5週間、連続的なRF電磁界(900 MHz、1.8 V/m、SAR = 30 mW/kg)にばく露または擬似ばく露、休息期間に高レベルの騒音(87.5 dB、50-20000 Hz)にばく露または擬似ばく露した。5週間のばく露後、睡眠(24時間記録)、摂餌及び摂水、体重を、RF電磁界及び騒音の有無の下で記録した。記録期間終了時、RF電磁界及び騒音のない状態で1時間の休息時間中に睡眠のスコアを記録した。その結果、RF電磁界及び/または騒音へのばく露と体重増加、騒音単独及びRF電磁界+騒音ばく露と過食、RF単独ばく露と過小食との関連が認められた。24時間の睡眠パラメータ記録では、RF単独ばく露群での活動的な覚醒の頻度上昇、騒音単独ばく露群での活動期の急速眼球運動を伴わない(NREM)睡眠/急速眼球運動を伴う(REM)睡眠の比率の低下が認められた。いずれの群にも睡眠時間に差は認められなかった。1時間の無制約の睡眠記録中、騒音単独ばく露群には睡眠リバウンドが認められたが、RF単独ばく露群及びRF+騒音ばく露群には認められなかった。この研究では、騒音ばく露の有無にかかわらず、RFばく露の影響は認められず、RFばく露は騒音ばく露による影響を悪化させなかった、と著者らは報告している。
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