アミロイドベータペプチド(Aβ)は、アルツハイマー病の病理学的反応(酸化ストレス、神経炎症、脳細胞死、等)の発生に関連している。アルツハイマー病の治療のための現在の薬理学的アプローチでは、Aβの沈着及びAβによる細胞応答の抑制を制御できない。無線周波(RF)電磁界ばく露が脳内のβ-アミロイド沈着を減少させ、アルツハイマー病の形質転換マウスの認知を改善することを示す証拠が増加している。この研究は、ヒト及びラットの初代星状細胞における、活性酸素種(ROS)産生、ミトコンドリア膜電位(MMP)、NADPHオキシダーゼの活性、p38MAPK及びERK1/2キナーゼのリン酸化に対する、携帯電話の918 MHz RF電磁界の影響を、Aβ42及びH2O2の存在下で調べた。その結果、RFは初代星状細胞において、Aβ42及びH2O2による細胞のROSを低減し、Aβ42によるミトコンドリアROSの産生、ならびにNADPHオキシダーゼの細胞基質(p47-phox)及び膜(gp91-phox)サブユニット間の共局在を抑制すると共に、MMPを増加させ、H2O2によるp38MAPK及びERK1/2のリン酸化を阻害し得ることが示された。但し、RFばく露はAβ42によるMAPKのリン酸化状態を変化させることはできなかった。これらの知見は、RFばく露に対する星状細胞の細胞及び分子応答の機序についての洞察を提示するものであり、アルツハイマー病の治療のためのRF電磁界の潜在的可能性を示している、と著者らは結論付けている。
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