国際がん研究機関(IARC)は2011年、無線周波(RF)電磁界を「ヒトに対して発がん性があるかも知れない(グループ2B)」に分類したが、RFへの職業的ばく露とがんとの関連についての疫学的証拠は、ばく露評価に限界があることを理由の一部として「不十分(inadequate)」と判断された。この研究は、多国間の人口集団ベースの症例対照研究であるINTEROCC研究(症例約4000人、対照5000人超)において、RF及び中間周波(IF)への職業的ばく露と脳腫瘍(神経膠腫及び髄膜腫)のリスクとの関連を、新規のばく露評価アプローチを用いて調べた。RF及びIF電磁界への累積ばく露の(全体的な、及び特定のばく露時間枠の)各個人の指標を、発生源‐ばく露マトリクス(source-exposure matrix: SEM)、ならびに発生源の内部または近傍での作業についての詳細な聞き取り調査のデータを用いて被験者に割付けた。条件付きロジスティック回帰を用いて神経膠腫及び髄膜腫のリスクとの関連を調べた。その結果、全体としては、10%前後の被験者がRFにばく露されていたが、IFにばく露されていたのは1%に過ぎなかった。RFまたはIFと調査対象の脳腫瘍との正の関連についての明確な証拠はなく、ほとんどの結果は関連性なし、またはオッズ比(OR)が1.0以下を示していた。最も大きい調整済みORは、最も新しいばく露時間枠(診断日(症例の場合)または参照日(対照の場合)の1-4年前)について、RF磁界への累積ばく露(A/m‐年)が最も高いカテゴリー(≥90thパーセンタイル)で得られ、神経膠腫ではOR = 1.62(95%信頼区間(CI)= 0.86-3.01)、髄膜腫ではOR = 1.52(95% CI = 0.65-3.55)であった。この研究では、ばく露評価アプローチの改善にもかかわらず、明確な関連は認められなかった。但し、RF電界及び磁界への最近のばく露について得られた結果は、これらが脳腫瘍のプロモーション/プログレッションにおいて潜在的な役割を担っているかも知れないことを示唆しており、さらなる研究が望ましい、と著者らは結論付けている。
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