先行研究で静磁界(3、15、50 mT)が骨芽細胞の分化を刺激することが示されたことから、この研究は、核因子κBリガンドの受容体活性化剤(RANKL)による破骨細胞の形成及び骨の再吸収に対する静磁界の抑制作用を調査した。その結果、直接的な静磁界は、マウスの骨髄由来マクロファージ細胞におけるRANKLによる多核破骨細胞の形成、酒石酸耐性酸性ホスファターゼ活性、骨の再吸収を抑制した。静磁界で処理した骨芽細胞からの馴化培地でも、破骨細胞の分化の抑制及び骨の再吸収が生じた。破骨細胞に特異的な転写因子(c-FOS、NFATc1等)のRANKLによる発現は、15 mTの静磁界によって顕著に下方制御された。加えて、静磁界は、RANKLによって活性化されたAkt、グリコーゲンシンターゼキナーゼ3β(GSK3β)、細胞外シグナル制御キナーゼ、c-jun-N-末端プロテインキナーゼ、マイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)、核因子-κB(NF-κB)の形成を抑制した。これらの知見は、RANKLによるAkt、GSK3β、MAPK及びNF-κB経路の静磁界が介在する減衰が、破骨細胞の形成及び骨の再吸収の直接的及び間接的な抑制に寄与しているかも知れないことを示している。ゆえに、静磁界は義装具周辺またはインプラント周辺での骨の溶解、ならびに溶骨性疾患(骨粗しょう症、関節リウマチ等)に対する治療手段として開発できるかも知れない、と著者らは結論付けている。
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