この研究は、携帯電話に用いられているUMTS信号が、10種類のヒト細胞株(脳、リンパ球、線維芽細胞、肝臓、口腔組織由来)のDNAの安定性に及ぼす影響を、使用者に関連する条件下(SAR 0.25-1.00 W/kg)で調べた。その結果、細胞を血清と培養した場合、単細胞ゲル電気泳動法(コメット・アッセイ)での損傷誘導の証拠は認められなかった。但し、無血清条件下で生育した場合、p53 proficientな神経膠芽腫細胞株(U87)には明確な陽性の影響が認められたが、p53 deficientな神経芽腫細胞(U251)には影響は認められなかった。更に、U87での損傷は急速に消失すること、ばく露はヌクレオチド除去修復(NER)を生じ、二本差切断(DSB)は生じないことが示された。NER誘導の観察は、プロテオーム分析による結果(NERに関与する複数のタンパク質がUMTSばく露後に上方制御された)によって支持された。加えて、γ-インターフェロン経路の活性化についての限定的な証拠が認められた。この知見は、UMTS信号は神経膠腫由来細胞において一過性の遺伝子不安定性を生じ、細胞防御系を活性化させることを示している、と著者らは結論付けている。
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