この研究は、思春期層の末梢神経に対する携帯電話使用の影響を調べた先行研究がないことから、21日齢の雄のSprague-Dawleyラット24匹を用いた研究を実施した。ラットを対照群、疑似ばく露群、ばく露群に割付け、ばく露群は21-59日齢(性成熟期全体)まで毎日同じ時間に1時間、ケージ内で900 MHz電磁界にばく露した。疑似ばく露群は電磁界ばく露なしで同様に処理した。対照群には何の処理もしなかった。研究期間終了時点で全てのラットを屠殺し、坐骨神経の1 cm切片を摘出した。マロンジアルデヒド(MDA)、グルタチオン、カタラーゼ(CAT)及びスーパーオキシドジスムターゼ(SOD)の数値を、右側坐骨神経組織の半分で生化学的に調べた。残りの半分の神経組織は通常の組織委病理学的手順に供し、ヘマトキシリン及びエオシン、ならびにマッソン三色で染色した。その結果、染色した切片の組織病理学的評価では、全ての群でシュワン細胞及び軸索の外観は正常であった。但し、ばく露群の坐骨神経では神経上膜が顕著に肥厚化していた。ばく露群では対照群及び疑似ばく露群と比較して、MDA、SOD、CATレベルが高かった。ばく露群では対照群及び疑似ばく露群と比較して、アポトーシス指標分析でのTUNEL(+)細胞の数の有意な増加が認められた。これらの結果は、性成熟期を通じた900 MHz電磁界への1時間の連続ばく露は、雄ラットの坐骨神経における酸化的損傷及び神経上膜の肥厚化を生じ得ることを示唆している、と著者らは結論付けている。
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