この研究は、成獣の雄マウスにおける海馬の空間記憶形成経路に対する、短期間(15日間)ならびに長期間(30および60日間)の低レベル2.45 GHzマイクロ波放射による局所的ストレスの影響を調査した。12週齢のマウスを2.45 GHzのマイクロ波放射(連続波、平均電力密度0,0248mW/(cm^2)、平均全身SAR 0.0146 W/kg)に2時間/日で、15、30および60日間ばく露した。学習および空間記憶を8本腕放射状迷路で評価した。血清コルチコステロンのレベルの変化、ならびに全ての海馬小領域(CA1、CA2、CA3およびDG)でのGR、CRH、i-NOS、iGluRs、PSD-95-nNOS系、PKA-PKCε-ERK1/2-pERK1/2の発現を免疫組織化学/免疫蛍光法で、海馬のGR、CRH-R1、CREBおよびp-CREBをウェスタンブロットで調べた。その結果、ばく露群では学習遅滞ならびに作業記憶および参照記憶の誤差の数の有意な増加が認められた。更に、ばく露群では血清コルチコステロンのレベル、ならびに上述の海馬小領域でのCRH、CRH-R1およびi-NOSの発現が、ばく露時間に応じて上昇したが、iGluRs、n-NOS、PSD-95、PKCε、PKA、ERK-p-ERK、CREBおよびp-CREBの発現は低下した。この結果は、2.45 GHzマイクロ波ばく露によって生じる局所的なストレスが、海馬における記憶形成のシグナル伝達機序を抑制することを示している、と著者らは結論付けている。
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