この研究は、マウスの神経機能に対する無線周波(RF)電磁界ばく露の影響を、特に軸索末端またはシナプスボタンで神経伝達物質を貯蔵するシナプス小胞に焦点を当てて調べた。C57BL/6マウスを835 MHzのRF電磁界(SAR 4.0 W/kg、5時間/日)にばく露し、大脳皮質内のシナプス前終末でのシナプス小胞における変化を判定した。シナプス小胞の数とサイズを推定できる一般的な電子顕微鏡および生体高電圧電子顕微鏡法を用いて、無作為抽出した皮質ニューロンの超微細構造を観察した。その結果、RFばく露後、皮質ニューロンのシナプス前ボタンにおけるシナプス小胞の密度(10または40 μm^3あたりの個数)が有意に低下した。更に、qPCRおよび免疫ブロッティング分析では、RFばく露群の皮質ニューロンにおけるシナプシンI/II遺伝子およびタンパク質の発現の有意な低下が認められた。この結果から、シナプス小胞およびシナプシンのレベルの変化はRFばく露後の大脳皮質における神経伝達物質の変化の結果かも知れないということが示唆される、と著者らは結論付けている。
このウェブサイトはクッキー(Cookies)を使って、最善のブラウジングエクスペリエンスを提供しています。あなたがこのウェブサイトを継続して使用することで、私たちがクッキーを使用することを許可することになります。