この研究は、2週齢または成獣のラットのGSM-1800 MHzへの2時間の頭部ばく露が、リポ多糖類(LPS)がトリガとなる神経炎症反応にインパクトを及ぼし得るかどうかを調べた。比吸収率(SAR)の平均値が2.9 W/kgの大脳皮質に着目した。成長中のラットでは、GSMばく露の24時間後に、RT-qPCRで評価した皮質のインターロイキン-1β(IL-1β)または
NOX2 NADPHオキシダーゼ転写物のレベルが、偽ばく露群(SAR = 0)と比較して50-60 %低減した。GSMばく露した成獣のラットでも、IL-1β mRNAのレベルの50 %低減が見られたが、NOX2遺伝子抑制がないことと、抗Iba1染色した皮質切片でミクログリア細胞プロセスの有意な成長反応が見られた点が、成長中のラットと異なっていた。神経炎症は興奮性神経伝達と関連していることがしばしばあることから、成獣の大脳皮質におけるα-アミノ-3-ヒドロキシ-5-メチル-4-イソオキサゾールプロピオン酸(AMPA)受容体の発現およびリン酸化の変化を、ウェスタンブロット解析で評価した。その結果、GSMばく露群では、GluA1 AMPARサブユニット上の2つの残基でのリン酸化の減少が認められた。遺伝子発現、ミクログリア、およびGluA1 リン酸化におけるGSMによる変化は、ばく露の72時間後には残っておらず、LPS前処理なしでは観察されなかった。著者らは、このデータはGSM-1800 MHzが急性の神経炎症状態をトリガとする中枢神経系の細胞応答を変調させ得るという証拠を示すものである、と結論付けている。
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