この研究は、フェリチンからの鉄のキレート化の速度が、事前に数時間、1MHz、30μTの無線周波(RF)の磁界ばく露を受けたタンパク質において最大3倍まで低下する現象の原因を考察した。この変化の分子レベルの原因は、「三方対称の構造をもつフェリチン穴(鉄原子が出入りする)周囲の電荷配置の変化にある」との仮説について検討した。第一実験として、穴の周囲の負電荷を中和したカチオン化タンパク質で測定を行った。その結果、事前の磁界ばく露の効果は逆転し、対照群に比べ、磁界ばく露したタンパク質はより多くの鉄イオンを放出した。第2実験として、鉄キレート剤がペプチドケージの内側に行く必要を失わせる強力な還元剤(6-ヒドロキシドーパミン)を用いた。その結果、還元剤は磁界効果を消失させることが示された。なお、これらの実験において、内部の超常磁性ナノ粒子構造に変化がないことを蛍光測定で確認した、と報告している。
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