この研究は、マイクロ波ばく露後の神経伝達物質の異常な放出が学習および記憶の欠損を引き起こすという仮説に立ち、この影響におけるリン酸化シナプシンI(p-Syn I)の潜在的な役割を調べた。ウィスターラットを用いた実験とラット海馬シナプトソームおよび分化型(神経)PC12細胞を用いた実験を行った。両方とも、マイクロ波ばく露は、平均電力密度30 mW/cm2、ばく露時間は5分間とし、それぞれの擬似ばく露群と比較した。ラット実験では、ばく露終了後、モーリスの水迷路タスクで空間学習および記憶を評価し、脳組織標本でp-Syn Iおよび神経伝達物質トランスポータのタンパク発現、シナプス前分布を調べた。細胞実験では、ばく露から6時間後に海馬シナプトソームおよびPC12細胞からのアミノ酸神経伝達物質の放出レベルを、shRNAによるシナプシンIのサイレンシングの有無別に調べた。その結果、ラット実験では、マイクロ波ばく露後に空間記憶の成績が低下した;同様に、シナプトソームからのGABA放出が弱まった;PC12細胞実験では、マイクロ波ばく露によりp-Syn Iの発現およびGABA放出が低下した;マイクロ波ばく露、p-Syn Iサイレンシングは両方ともGABA放出を低下させるが、両者を併せると相乗効果が見られた、と報告している。
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