この総説は、超低周波磁界ばく露(ELF-MF)と神経変性疾患(NDD)との関連が因果関係であるか否かを示すメカニズム的裏付けを探索することを目的として、動物研究および細胞研究をレビューした。レビューにあたって、「ELF-MFが炎症過程を促進させ、その結果としてNDDを進行させる」という仮説を設定した。しかし、この仮説に取り組んだ実験研究は乏しいため、この仮説に対する確固とした結論は得られなかったという。また、実施されている研究も、重要な実験条件がまちまちであるため、結論を導き出すことは困難であるという。「言えるのは、短期ばく露が軽度の酸化ストレスを引き起こし、抗炎症過程を活性化する可能性を示唆する動物研究、細胞研究が一部にあることである。NDDそのもの、またはNDD関連のエンドポイントを調査した研究は極めて少数であるが、神経細胞のバイアビリティや分化への影響を肯定するもの、否定するものがある」として、疫学研究が示唆しているようなELF-MFとアルツハイマー病の関連が因果的であるか否かという疑問に回答するには、現在の実験研究は不十分であると結論している。
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