この研究は、50人の白人の携帯電話ユーザを対象に実施されたコホート研究である。各被験者の右頬および左頬それぞれの粘膜から細胞サンプル(合計100個の細胞サンプル)を採取し、また、アンケート調査(年齢、性別、身長と体重、がんの病歴、喫煙とアルコール摂取、化学的発がん物質または放射線へのばく露、食生活)を実施した。両側の頬の粘膜からの細胞採取には専用のサイトブラシが用いられた。100個の細胞サンプルから合計2000個の剥離細胞を選抜して、蛍光顕微鏡法により核の異常、特に小核についてスクリーニングした。その結果、年齢、性別、肥満度指数、または喫煙歴に関して、統計的に有意な違いはなかった;携帯電話放射へのばく露期間(年)との関連で、合計100のサンプルにおける携帯電話使用側の頬領域と反対側の対照領域を比較でしたが、有意差は一つもなかった;知見を総括すると、RFばく露による遺伝毒性の影響は、調べたパラメータでは観察されなかった、と報告している。
50人の被験者の左右の頬から頬粘膜の細胞サンプルを2つ採取した。通話時に携帯電話を優先的に保持下側の頬をばく露側、反対側の頬を非ばく露側と定義した。細胞サンプルをDAPIで染色し、DNA損傷及び細胞質分裂の欠陥(小核及び二核細胞)、増殖ならびに細胞死を検出するため、顕微鏡下で検査した。
グループ | 説明 |
---|---|
集団 1 | 週当たりの携帯電話使用: 0-3時間 |
集団 2 | 週当たりの携帯電話使用: 3-6時間 |
集団 3 | 週当たりの携帯電話使用: 6-9時間 |
集団 4 | 週当たりの携帯電話使用: 9-12時間 |
集団 5 | 週当たりの携帯電話使用: 12-15時間 |
集団 6 | 携帯電話使用全体: < 5年 |
集団 7 | 携帯電話使用全体: 5-10年 |
集団 8 | 携帯電話使用全体: > 15年 |
集団 9 | 携帯電話を好んで保持する顔の側面:右 |
集団 10 | 携帯電話を好んで保持する顔の側面:左 |
タイプ | 値 |
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合計 | 50 |
健康な個人のばく露された頬粘膜細胞サンプルでは、ばく露されなかった頬粘膜と比較して、統計的に有意な変化は認められなかった。
著者らは、携帯電話ばく露による遺伝毒性作用は認められなかった、と結論付けている。
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