研究のタイプ: サーベイ (医学/生物学の研究)

[総説:ELF磁界:動物研究、作用機序] review

ELF magnetic fields: Animal studies, mechanisms of action

掲載誌: Prog Biophys Mol Biol 2011; 107 (3): 369-373

50-60 Hz超低周波(ELF)磁界(MFs)ばく露を受けた小児成人より高い健康リスク(その大半は奇形学的影響およびがんに関するもの)の可能性をもつかという問題への取り組みには動物研究が貢献できる。【奇形学】ELF MFsのばく露を与えた動物において奇形学的研究は広範に行われているが、実験で有害な発生上の影響は証明されていない。【小児白血病小児白血病は、疫学研究でELF MFsのばく露と関連するものとして一貫した報告がある唯一のがんである。この関連が、2002年のIARCによる「ヒトに対して発がん性があるかも知れない」への分類の根拠となった。動物実験は、このような疫学的知見に対して限定的な裏付けしか提供していない。ただし、1件を除き、小児白血病の主要な形態である急性リンパ性白血病ALL)の動物モデルを用いた研究は無く、ALLのファーストヒットが起きると考えられている妊娠の全期間中を通したELF MFsのばく露は行われていない。【メカニズム】低レベルのMFsの発がん作用を説明できるような生物物理学的メカニズムとして一般的に受け容れられているものはない。ラジカル対によるメカニズムおよび関連クリプトクロム(CRY:青色光受容体タンパク)分子が地磁気のセンサーとして、最近、鳥類および哺乳類以外の他の動物種で同定されている。この仮説哺乳類モデルで検証する必要がある。CRYは、分子レベルの概日時計機構の一部であり、おそらくはがん細胞成長およびDNA修復に関与するらしいタンパク質として体内に偏在する。【結論】ALLとELF MFsばく露の相互作用の特性をもっと明らかにするために検証すべき手がかりがいくつかある。

影響評価項目

ばく露