<目的>台湾において高電圧送電線(69-345kV)の近くに居住すること により磁界曝露を受けた15歳以下の子供の小児白血病の罹病と磁界曝露との関連は、1979~1988年の期間の調査結果、すでに5つの地区について有意な相関(SMR=1.49 95%CI 1.16-1.19)が報告されたが(Lin RS 1994)、今回の調査は更に厳密な結果を狙って、高電圧送電線が密に通過する3地区に範囲をしぼってその後の症例について行ったものである。<方法>台北都市地域の3つの区(Shihlin, Tucheng, Hsichuh)は送電線網に厚く覆われており、研究対象とされた。1987~1992年の間にこの対象地域の12,696人の14歳以下の子供から28名の白血病症例が国のがん登録に報告された。高電圧送電線から100m以内に居住する人を曝露群、100m以上に居住する人を対照群として標準化罹病率SIRを算出した。また台湾全土の子供も対照群として算出した。<結果>100m以内ではこの期間に7名の症例、100m以上では21名の症例があり、SIR=2.43(95%CI 0.98-5.01)と計算されるが、これを最も発病の高い5~9歳の区分に限るとSIR=4.70(95%CI 1.28-12.1)と有意なリスクとなる(表2)。台湾全土の子供のSIRと比較すると、100m以内ではSIR=2.69(95%CI 1.08-5.55)と有意であり、5~9歳に限定すれば、SIR=5.06(95%CI 1.38-13.0)と高いリスクとなる。一方、送電線から100m以遠の居住者ではSIR=1.05(95%CI 0.64-1.58)とリスクの増加は見られない(表3)。著者はこのような傾向は高い磁界曝露と小児白血病のリスク増加との間に相関があることを示す証拠として明らかにもっと追求する必要があると述べている。
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