この研究は、静磁界(0.78T)中における繊毛性原生動物ゾウリムシの配向を調べた。その結果、磁界ばく露を開始すると、一部のシンジェン(下記参照)は泳ぎの方向を次第に変化させ、磁界に対して垂直または平行に泳ぐものも見られたが、シンジェンによって磁界に対する感受性は異なっていた;シンジェン懸濁液の温度を上昇させると磁気感受性は低下したが、その一方、シンジェンをあらかじめ高温で飼育した場合、磁気感受性は上昇した、と報告している。次に、以上の結果から、膜脂質の流動性がシンジェンの磁気配向に関係する可能性が示されたと考え、親油性色素Laurdan(6-ラウロイル-2-ジメチルアミノナフタレン)を用いた蛍光画像分析によって膜脂質の流動性を測定した結果、膜の流動性が低いシンジェンでは磁気配向の程度が強かった、と報告している。(JEIC注)ゾウリムシには、シンジェン(Syngen; 同質遺伝子個体群)と称する接合型グループ(このグループ内でのみ接合する)が複数ある。シンジェンは他のシンジェンと生殖的に隔離されているので、シンジェンは遺伝学的種に相当し、ゾウリムシという形態種は種複合体(Species complex)と呼ばれる。シンジェンの細胞形態は顕微鏡的にはよく似ているが、アイソザイムなどの分子的特徴で識別される。
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