この研究は、走磁性細菌Magnetospirillum magneticum AMB-1の生体鉱物形成作用(生物が自身の体の内外に鉱物を作り出す作用)に対する印加磁界の影響を調べた。前培養した磁性細菌および非磁性細菌をそれぞれ植えた培養物を、正弦波磁界印加下または地磁気下(対照)で培養した。その結果、正弦波磁界は、磁性細胞を植えた培養物におけるmms6発現を増加させ、非磁性細胞を植えた培養物におけるmagA、mms6、およびmamA発現を増加させた;印加された正弦波磁界は細胞分裂をブロックする可能性がある;これにより、培養物のOD600値低下および磁気係数値上昇がもたらされ、その結果として成熟マグネトソーム含有細菌の割合が増加したと解釈される;正弦波磁界ばく露により、マグネトソーム鎖の直線性が影響を受け、また細胞内の磁性粒子の数が増加した;以上の知見は、強度と向きが変動する正弦波磁界は、新しく形成されつつある磁性粒子の磁極変換をもたらし、それが磁性結晶の形成および隣接し合うマグネトソームの配置に影響を与える可能性を示した、と報告している。
バイオミネラリゼーションに対する外部磁界の影響を理解し、マグネトソーム形成を強め得る新たなアプローチを示唆するため、Magnetospirillum AMB-1におけるマグネトソームの形成に対する50Hz正弦波磁界の影響を調べること。
走磁性細菌は微生物の多様なグループで、1つ以上のマグネトソーム(マグネタイトを含む)の鎖を有する。これらの細菌は方向検知に地磁気を用いることができるので、マグネタイトに基づく磁気感知の研究のための単純なモデルを提示するものである。
磁気または非磁気的な前培養で接種した培地を、正弦波磁界または地磁気の下でインキュベートした。5つの平行する細菌サンプルを各時点(0、2、4、6、8、10、12、14、16、20、24、28、32、36、40、48時間)で用いた。
two different cell cultures were exposed: i) cells preinoculated with enriched magnetic spirillum growth medium (containing ferric quinate) ii) cells preinoculated with iron-deficient cultures
周波数 |
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タイプ |
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ばく露時間 | continuous for up to 48 hr |
ばく露の発生源/構造 |
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ばく露装置の詳細 | current flowing in opposite directions in the subcoils to eliminate the magnetic field in the coil |
測定量 | 値 | 種別 | Method | Mass | 備考 |
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磁束密度 | 0 mT | - | 測定値 | - | sinusoidal magnetic field |
このデータは、正弦波磁界は磁気的に前培養した細胞における mms6 遺伝子発現、及び非磁性細胞で摂取した培地での magA, mms6 及び mamA 遺伝子発現を上方制御することを示している。正弦波磁界は細胞分裂を阻害し、これはOD600値の低下(地磁気と比較して、磁界ばく露後に600nmでの光学密度が有意に低下した)及び磁気係数の上昇に寄与し得る。これは、細菌の磁気の増加に寄与し得る。
このデータは、正弦波磁界がマグネトソームの鎖を長くし、細胞当たりの磁性粒子の数を増加させ得ることも示している。
結論として、この結果は、正弦波磁界が Magnetospirillum magneticum/AMB-1におけるマグネトソームの形成、及び一部のマグネトソーム形成関連遺伝子の発現に影響を及ぼすことを示しており、磁性細菌には外部磁界の変化に適応し、細胞内のマグネトソーム形成を制御する能力があることを示唆している。mamA 及び magA の発現は、非磁性細胞培地でより活発であることが示された。このことは、これら2つの遺伝子はマグネトソームの新たな合成経路でより活発になるかも知れないことを示唆している。
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