【背景】16Hzの間欠性磁界へのばく露が、心拍変動を減少させることが観察され、そして、減少した心拍変動は心臓血管系の死亡を予見する。我々は、様々な程度で、間欠性16.7Hz磁界にばく露された鉄道労働者における心臓血管系の原因による死亡率を調べた。【方法】我々は、スイスの1972年から2002年にかけての、20, 141人の鉄道労働従事者のコホートを調査した。その中には、高ばく露を受けていた列車運転手(生涯ばく露の中央値は120.5μT-年数)、より少ないか僅かなばく露を受けていた操車場技師(42.1μT-年数)、列車の乗務員(13.3μT-年数)、駅長(5.7μT-年数)がいた。追跡した464, 129人年において、5, 413人の死亡が記録され、3, 594人の死亡が心臓血管系の疾患に帰せられた。コックス比例ハザードモデルを用いてデータを分析した。【結果】心臓血管系の死亡全数に対し、駅長で比較したハザード率は、列車運転手では0.89(95%CI: 0.91, 1.08)、操車場技師において1.13(95%CI: 0.98, 1.30)、列車乗務員において1.09(95%CI: 1.00, 1.19)であった。死亡に関連した不整脈のハザード率は、それぞれ、1.04(95%CI: 0.68, 1.59), 0.58(95%CI: 0.24, 1.37 ), 10(95%CI: 0.87, 1.93)であり、急性心筋梗塞では、1.00(95%CI: 0.73, 1.36), 1.56(95%CI: 1.04, 2.32), 1.14(95%CI: 0.85, 1.53)であった。100μT-年数の累積ばく露あたりの死亡数に関連した不整脈のハザード率は、0.94(95%CI: 0.71, 1.24)であり、急性心筋梗塞に対しては、0.91 (95%CI: 0.75, 1.11)であった。【結論】本研究は、間欠性16.7Hz磁界への長期職業ばく露と心臓血管系での死亡率との関連性に反する証拠を提供する。
グループ | 説明 |
---|---|
集団 1 | 駅長:1980年の平均ばく露:0.7 µT |
集団 2 | 車掌:1980年の平均ばく露:1.8 µT |
集団 3 | 操車場技師:1980年の平均ばく露:5.5 µT |
集団 4 | 鉄道運転士:1980年の平均ばく露:21.4 µT |
集団 5 | 駅長:2000年の平均ばく露:1.0 µT |
集団 6 | 車掌:2000年の平均ばく露:4.2 µT |
集団 7 | 操車場技師:2000年の平均ばく露:6.0 µT |
集団 8 | 鉄道運転士:2000年の平均ばく露:21.0 µT |
集団 9 | 駅長:生涯の累積ばく露の中央値:5.7 µT-years |
集団 10 | 車掌:生涯の累積ばく露の中央値:13.3 µT-years |
集団 11 | 操車場技師:生涯の累積ばく露の中央値:42.1 µT-years |
集団 12 | 鉄道運転士:生涯の累積ばく露の中央値:120.5 µT-years |
タイプ | 値 |
---|---|
合計 | 20,141 |
464129人-年のフォローアップ
このコホートでは5413人の死亡が観察され、そのうち3594人の死亡は心臓血管疾患が原因と考えられた。鉄道運転士、操車場技師、車掌または駅長についての個別分析では、心臓血管死亡率全体、及びサブグループについてのハザード比は上昇しなかった。累積ばく露については、ハザード比は上昇しなかった。
この結果は、16.7Hz磁界への長期ばく露と心臓血管死亡率との関連に反する証拠を提示している。
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