マッケンジーら(1998)による我々の研究の見直しはデータの事後分析であり学問的に正当でない。我々が調査を開始した当時は、レーン・コーヴでの高い発症率を予想する理由はなかった。不均一性に関する統計的検定では、レーン・コーヴを除外する根拠は示されなかった(表1)。我々の当初の仮説は、RFばく露の代用指標として距離を用いて、タワーを取り囲む3つの地方行政エリア(LGA)では、その外側と比較して白血病の発症率が増加しているかどうかを評価するというものであった。事実、白血病は増加していた。1. マッケンジーらの論文では、我々の分析におけるレーン・コーヴの役割が強調されている。しかし、我々が小児白血病の発症率及び死亡率に関する内側エリアと外側エリアでの不均一性を検定した結果は有意ではなかった。2. 先験的にレーン・コーヴを特別扱いする理由はなかったので、これを事後に除外するのは明らかに非合理的である。3. マッケンジーらの論文の図4は、視覚的に誤解を招く。プロットを、各ポイントでの変動幅が等しい回帰線にフィットした通常のばらつきであると評価するように視線が誘導される。しかし、それぞれの観察値の精度が等しいと考えることは妥当でない。同様に、急性リンパ性白血病(ALL)の時間的傾向に関する彼らの論文の図5には、各ポイントにおける信頼区間が示されておらず視覚的に誤解を招く。もう一度言うが、時間的傾向に関して個別のLGAを調べるのは、演繹的仮説と矛盾する事後分析である。4. 我々は、我々のアプローチに従った生態学的研究が「見せかけの人騒がせな結果を生じる潜在的可能性がある」ということには合意しない。我々の論文のような仮説形成型の生態学的研究が他の疫学デザインより、見せかけの人騒がせな結果を生じることが多いということはない。5. 上述のように、レーン・コーヴを除外するのは非合理的である。重要な点は、データの特定のサブセットへの選択的注目は、その選択により、様々な解釈を可能とすることである。6. マッケンジーらはばく露データの考察で、幾つかの間違った仮定を立てている。彼らは、実際には水平面で最大8dBの指向性を持つアンテナを、水平面で等方性であると仮定し、また、サイドローブは実際には余弦曲線から最大で1桁ずれるので小さいと仮定した。我々は、これらの因子を計算に含めていた。マッケンジーらは、建物と地形の影になることによって信号がほとんど消えるくらいに弱まるとしている。それによって信号は大幅に弱まるかもしれないが、この影響は局所的であり、全てのLGAに等しく影響すると仮定することはできない。このことは、症例対照研究の一環として住居での測定を実施することの更なる理由である。彼らはまた、単純な線形のばく露量-反応関係を仮定している。例えば、毒性メカニズムは特定のばく露レベルで飽和するかもしれない。あるいは、日光と悪性黒色腫との関連のように、間欠ばく露の方が連続ばく露よりも重要かもしれない。7. 我々は、症例と対照についての慎重なRF測定と、潜在的な交絡因子についての補正を盛込んだ、更なる詳細な研究が望ましいという点では、マッケンジーらに同意する。実際、我々はそうした研究に向けた予備的研究に関与してきた。 まとめると、(マッケンジーらによる)我々の研究の見直しには、データの事後分析に関する重大な欠点がある。彼らの分析は「小児のALLの発症率とTVタワーのRFとの見かけ上の関連に疑いを投げかけている」という結論は正当でない。ともあれ、彼らの分析は、中程度の関連についての我々の知見を確認しており、この関連を更に研究するに十分な理由がある。備考:McKenzie DR 2000 (Aust New Zea J Public Health 23 553-555)において、再反論が行われた。
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