1980年代後半から広く普及してきた携帯通信による電磁界の人体影響に関する研究においては、多くの研究が非熱影響に焦点を当ててきた。低エネルギー電磁界は種々の細胞膜の構造的および機能的変化を起こし、細胞の異常反応を導くようである。携帯電話使用時に電磁界を直接に受ける中枢神経系および聴覚系内での変化は特に重要である。様々な研究は、電磁界が神経の反応性低下、神経細胞膜の導電性上昇、不応期の延長などの影響を神経細胞に与えることを示唆している。さらに、電磁界は特定の腫瘍の発生率上昇に関係すること、および既知の発がん因子と相互作用する可能性が示唆されているが、発がんにおける電磁界の役割を裏付ける決定的な証拠はない。したがって、携帯電話使用の有害な影響の可能性に関して、安全であるとの結論を導き出すことはできない。我々の研究室においても、携帯電話使用が聴覚系および中枢神経系に与える影響の可能性について実験を行っており、携帯電話使用が本当に健康影響を生じさせるか否かをより一層明らかにできることを期待している。
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