携帯電話やその基地局の電磁界が人の睡眠や認知機能に影響を及ぼすかどうかについて、広く一般的に論議されてきた。睡眠、特にレム睡眠の記憶固定効果と学習効果が確認されていることから、無線周波数電磁場による睡眠妨害も認知機能を弱める可能性がある。以前に行われた睡眠研究は短期ばく露に関して一貫性のない結果となった。また、短期、長期のばく露が認知機能および睡眠に及ぼす影響についてはデータが不足している。そこで、健康な若い男性の被験者10人において、8夜連続で睡眠の記録をとった。2日目、3日目、最終日の夜について、睡眠ポリグラフ上の睡眠と認知機能を調査した。適応のための夜と基準のための夜の後、被験者は次の6夜中に定められた無線周波数電磁界にばく露された。我々は、パワースペクトルと相関次元によって、また、RechtschaffenとKales[1968、Manual of Standardized Terminology, Techniques and Scoring System for Sleep of Human Subjectives(ヒト被験者の睡眠に関する標準専門用語、技術、スコア体系のマニュアル)]に従って、睡眠ポリグラフ上の終夜睡眠を分析した。認知機能は一連の神経心理学テストによって調査された。データ分析は、基準夜とばく露の第一夜および最終夜の比較を最初の2つの睡眠周期について行った。従来の睡眠パラメータにおいてもパワースペクトルと相関次元においても、さらに、認知機能においても、顕著な影響は確認できなかった。今回の研究結果では、我々は、健康な被験者に実施した、短期、蓄積的長期の無線周波数電磁界ばく露が夜の睡眠および認知機能に及ぼす影響を明らかにすることはできなかった。
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