研究のタイプ: 疫学研究 (observational study)

[架空高電圧線への居住環境ばく露と精巣がんのリスク:ハンブルク(ドイツ)での人口ベースの症例対照研究の結果] epidem.

Residential exposure to overhead high-voltage lines and the risk of testicular cancer: results of a population-based case-control study in Hamburg (Germany)

掲載誌: Int Arch Occup Environ Health 2005; 78 (1): 20-26

この研究は、高電圧送電線への居住環境ばく露精巣がんとの関連を調べた人口ベース症例対照研究である。ハンブルグのがん登録から同定された精巣がんの症例、およびハンブルグの住民登録から無作為抽出された対照について、その居住歴を記録した。調査に含まれた症例は、1995年から1997年に診断された15歳から69歳の新規症例145人で、対照は、症例と年齢(5歳階級)をマッチさせた313人である。モデルAでは、ばく露は距離で定義した(ばく露経験あり vs ばく露経験なし)。モデルBでは、居住期間および最も近い高電圧線までの距離の逆数を考慮して低ばく露と高ばく露を区別し、ばく露のない人を参照群とした。オッズ比OR)および対応する95 %信頼区間(CI)は、条件なしロジスティック回帰で算出された。40歳未満の男性と40歳以上の男性を別々にした分析も実施した。その結果、ハンブルクの高電圧線下の幅100 mのコリドー内でのばく露頻度は、症例で6.9%、対照で5.8%であった(OR = 1.3; 95 % CI = 0.56-2.80);複雑なモデルBでは、低ばく露におけるORは1.2(95%CI = 0.60-2.47)、高ばく露では1.7(95%CI = 0.91-3.32)であった;若い男性の場合、両方のモデルでわずかにリスクが増加した、と報告している。

研究の目的(著者による)

架空高圧線への居住環境ばく露精巣がんとの関連を調査するため、ドイツにおいて人口ベース症例対照研究を実施した。

詳細情報

架空高圧線へのばく露は、距離及び日中の居住時間によって定義した。モデルA(ばく露ありvs.ばく露なし)では、架空高圧線から100mの回廊内に住んだことがある場合、ばく露群に分類した。モデルBでは、居住時間と、250mの回廊内にある最も近くの架空高圧線からの距離の逆数を考慮した。

影響評価項目/リスク推定のタイプ

リスク推定のタイプ: (オッズ比(OR))

ばく露

ばく露評価

ばく露集団

グループ 説明
参照集団 1 モデルA:ばく露経験なし
集団 2 モデルA:ばく露
参照集団 3 モデルB:非ばく露
集団 4 モデルB:低ばく露、居住期間 > 0 - ≤ 26 日
集団 5 モデルB:高ばく露、居住期間 > 26 - ≤ 4791 日

調査対象集団

症例集団

対照集団

調査規模

症例 対照
参加者 145 313
統計学的分析方法: (調整: )

結論(著者による)

データは、高圧線への居住環境ばく露精巣がんリスクとの具体的な関連を示さなかった。但し、40歳未満の若い男性についてのリスクは僅かに高かった。

研究助成