[生きた細胞におけるRFの非線形相互作用 I:不平衡熱力学理論] tech./dosim.

RF nonlinear interactions in living cells-I: nonequilibrium thermodynamic theory

掲載誌: Bioelectromagnetics 2003; 24 (7): 473-482

この研究は、いくつかの生物実験が報告した低周波変調無線周波RF)に依存した影響のメカニズムを理論的に検討している。その影響が在るとすれば、生物試料での非線形反応が要件となること、およびその非線形反応は、一般的に、RF散乱エネルギーに見られる特異的な周波数上の特徴として観察されるはずであるとの前提に立ち、大小2つ部分からなる物理系で検討した。大きな部分(水の特性が支配的)に起きるRF電磁界との線形的相互作用は、平衡熱力学で記述される。もう一方の小さな部分(ある種の生体分子および分子サブグループ)で起きる非線形的相互作用は、不平衡熱力学で記述されると、考察している。この非線形相互作用の第1のメカニズムは、膜表面のような電磁界勾配が大きな領域の振動子が発するRF光子の散乱である可能性が高いが、第2のメカニズムとして、もし仮にストレス(弾性)波が限局的なRF加熱された血管部分から発生するとすれば、それも考えられる、と述べている。このような物理系について理論的考察をした結果として、化学的遷移のポンプ作用により熱力学的の安定性をマイクロ波が変化させる可能性は原理的にはありうるものの、観察できるほど大きな不安定を起こすためには非線形結合が非常に大きな度合で起きる必要があるが、それが起きる確率は、電磁界強度が極度に高くない限り、事実上ゼロである、と報告している。

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