[60 Hz電界と磁界の複合ばく露により、ヒヒのサンプル合わせのオペラント行動の停止或いは影響は起こらない] med./bio.

Exposure of baboons to combined 60 Hz electric and magnetic fields does not produce work stoppage or affect operant performance on a match-to-sample task

掲載誌: Bioelectromagnetics 1995: 61-70

<目的>60Hz電界磁界の複合曝露がヒヒの中枢神経系の認識と短期記憶 に及ぼす影響が有るか無いかを、数カ月間訓練されたヒヒを使い、サンプル合わせのオペラントタスク試験を行って検討する。<方法>30kV/mの垂直電界と100μTの水平磁界と、6kV/mの垂直電界と50μTの水平磁界のそれぞれの組み合わせで曝露試験がそれぞれ10頭のヒヒ(曝露5頭、擬似曝露5頭)を用いて行われた。MTS-Taskはフラッシュの間隔の異なる2種類のキューライトを提示し、消して僅かの時間の経過の後、再び提示して同じキューライトを選ばせるものである。このタスクを数カ月訓練したが、ヒヒの能力によって差が見られ、4頭はキューライトの助けによってのみ反応した。各動物ごとの18週間の経過を比較することにより曝露の影響が検討された。初回のキューの提示と次の提示の間は1-16秒と変えて観察した。<結果>(1)実験された二つの曝露条件の組み合わせのいづれも、曝露前期と曝露期との間に試行回数での差は見られず(図2,4,6,)、更に初回の提示と次の提示との間隔(1-16秒)が大きくなるにつれて誤った判断の%が増加する傾向にも差があると考えられる証拠は見られなかった(図3,5,7,)。(2)電界曝露のみの実験で見られた曝露直後の作業停止は、磁界との複合曝露による今回の実験では、6kV/mでは僅かに見られたが、30kV/mでは観察されなかった(図8)。6kV/mで曝露した実験ではヒヒの感知する下限であったことで説明できるが、30kV/mでは起こらなかったことは、その理由は不明である。著者は磁界中枢神経系の興奮を抑制電界による刺激を少なくしている可能性を示唆している。

ばく露