この総説は、超低周波数電磁界(EMF)へのばく露と健康への影響に関する疫学研究の歴史および結果について解説している。レビューの結論として、a) この分野の疫学研究の質は向上してきており、近年の小児白血病に関する研究、およびがんと職場ばく露に関する研究は、研究規模と方法上の厳密性に関して我々が現実に達成できる限度に近づいている;b) ばく露評価には、特にEMF疫学では困難であり、その理由は、i) ばく露は感知できず、ユビキタスで、複数の発生源があり、時間的および短距離で大きく変動する、ii) 関連するばく露期間は、実際に計測する日より前のことで、期間や誘導期間が不明である、iii) 適切なばく露指標が分かっておらず、その基になる生物学的データもない;実験的証拠がなく、方法論的不確かであることを考え合わせると、EMFとの病因学的関連が確立されたと見なせるような慢性疾患ない;d) 小児がん、および職業ばく露に関連する成人の白血病と脳腫瘍に関しては、質の高いデータが大量に存在する、としている。EMF疫学研究で評価された全ての結果の中では、0.4μT以上への出生後ばく露に関連した小児白血病が、最も関連の証拠があるものの一つであり、プール分析では相対リスク値が2.0(95%信頼区間:1.27-3.13)となった。これを、偶然によるものとは考えにくいが、一部、バイアスによるものである可能性がある。メカニズムが不明で、再現性のある実験の裏付けがない現状では、この疫学結果の解釈は困難である。ただし、大規模なプール分析では、小児全体の0.8%が、0.4μT以上のばく露を受けていた。今後の研究は、選択バイアスやばく露の観点など、個別の仮説を検証する研究デザインにする必要がある,と述べている。
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