この研究は、先行研究で6 mTの60 Hz超低周波(ELF)磁界がヒト細胞の増殖を促進することが示されたことを踏まえ、10-16 mTのELF磁界がヒト子宮頸がん細胞、ラット神経芽細胞腫、肝がん幹細胞、不死化正常肝細胞、および正常線維芽細胞を含む様々な哺乳類細胞に及ぼす影響を調べた。熱的影響を伴わずに磁束密度を安定的に増加させる改良型ELF磁界発生装置を用いて、細胞を10 mTおよび16 mTのELF磁界に72時間ばく露した。その結果、全ての細胞種において、14 mTで擬似ばく露群と比較して約20%以上の増殖増加が認められ、16 mTではそれ以上の増加は観察されなかった。14 mTで増殖が活性化した細胞では、AktではなくMEK-ERK経路およびNF-κBの活性化、ならびにS期集団のわずかな増加が観察された。細胞内およびミトコンドリアのROSレベルは変化せず、酸化的リン酸化を阻害しても増殖活性化効果は持続した。細胞内カルシウムレベルの変化は観察されず、カルシウムキレート剤の存在下でも増殖活性化効果は維持された。これらの知見は、ROSおよび細胞内カルシウムがELF-MFの増殖活性化の生理的効果を媒介しないことを示唆する。結論として、10-14 mTの60Hz ELF-MFへの曝露は、細胞内ROSおよびカルシウムレベルに影響を与えることなく、ERK1/2を活性化することにより細胞増殖を促進すると考えられる、と著者らは結論付けている。
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