[ウィルムス腫瘍の環境リスク要因：系統的レビューおよびメタ分析] epidem.

この研究は、文献レビューを用いて、ウィルムス腫瘍（WT）の環境リスク要因を統合することを目的とした。PubMed、Web of Science、Embaseデータベースを用いて、疫学研究の系統的レビューとメタ分析を実施した。診断時に20歳未満の小児を対象とした症例対照研究またはコホート研究であり、相対リスク（RR）と95%信頼区間（CI）が報告されている研究を包含した。WTに関連するリスク要因のプールされた影響サイズ（ES）と95% CIを、ランダム効果モデルを用て推定した。アジア、欧州、南米、北米、オセアニアからの58件の適格な研究を包含し、1953-2019年までにWTと診断された約10,000件の症例を対象とした。その結果、高出生体重（> 4000 g）ES = 1.54、95% CI = 1.20-1.97）とWTとの関連が認められた。同様に、帝王切開（ES = 1.23、95% CI = 1.07-1.42）、妊娠期間<37週（ES = 1.45、95% CI = 1.21-1.74）および在胎週数に対して大きい胎児（ES = 1.52、95% CI = 1.09-2.12）についても一貫した関連が示唆された。妊娠前／妊娠中の親の職業上の農薬ばく露も、WTのリスク上昇を示した (母親について：ES = 1.28、95% CI = 1.02-1.60、父親について：ES = 1.48、95% CI = 0.98-2.24)。母乳育児 (授乳経験あり：ES = 0.71、95% CI = 0.56-0.89、授乳6か月未満：ES = 0.67、95% CI = 0.49-0.91、授乳6か月以上：ES = 0.75、95% CI = 0.59-0.97)、および妊娠中の母親のビタミン (詳細不明) と葉酸の摂取 (ES = 0.78、95% CI = 0.69-0.89) との間には逆相関が認められた。関連性が見られなかった要因としては、低出生体重（<2500 g）、在胎週数に対して小さい、生殖補助医療、親の年齢、妊娠前／妊娠中の喫煙または飲酒、父親の職業上の超低周波（ELF）磁界ばく露、および妊娠中の母親のエックス線ばく露などがあった。これらの結果は、WTの修正可能なリスク要因として、親の職業上の農薬ばく露、母乳育児（有益）、および妊娠前／妊娠中の葉酸摂取（有益）が示唆されているが、全ての関連性の強さはどちらかと言えば中程度であった、と著者らは結論付けている。