[海底電力ケーブルから生じる電磁界が軟底生物群集に及ぼす影響の評価：イン・サイチュー生態学的調査] med./bio.

この研究は、高圧交流（HVAC）ケーブルから生じる磁界を測定し、磁界ばく露領域とは異なる深さの2つの対照領域を比較することで、軟底マクロ動物群集への影響を評価した。測定した磁界強度は比較的低く、ケーブル付近のバックグラウンドレベルからの最大偏差は34 nTで、250 m離れたところでは1 nTに低下した。これらの強度は、生理学的影響を誘発する実験室実験で通常用いられる強度（0.1～30 mT）よりも大幅に低い。結果から、種の豊富さ（S）は深さとともに増加するパターンを示し、これは堆積物の安定性とさまざまな堆積物特性に関連していることが明らかになった。分析では、磁界がマクロベントス類のコミュニティ全体に大きな影響を及ぼしていることは示されなかったが、最も深いステーションでの種の豊富さの減少や、ケーブルエリア内のコントロールゾーンと比べた深さ全体でのコミュニティの均質化など、いくつかの兆候が観察された。しかし、異なる場所や深さで観察されたさまざまなパターンは、特に実地環境と制御された実験室環境間の磁場強度の違いを考慮して、更なる調査が必要である、と著者らは結論付けている。